人工心肺装置って

心臓手術で、心臓を一時的に安全に止める必要があり、心臓の働き(全身への血液を送る)と、肺の働き(血液中の二酸化炭素を酸素へ換える)を器械が代わりに行う装置。

人工心肺装置を使用する手術は?

弁膜症手術;大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、肺動脈弁
大血管手術;胸部大動脈瘤、大動脈解離、など
先天性心手術:心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、など
虚血性心手術:冠動脈バイパス術、左心室瘤、心室中隔穿孔、など

人工心肺装置はどのように使われるの?

全身の血液が心臓に帰ってくる上下大静脈、右心房から血液を体外(脱血という)へ
人工肺にて二酸化炭素と酸素を交換して、遠心ポンプ(心臓の代わり)で血液を送りだし
大動脈へ送り(送血という)全身へ酸素化された血液を循環させる。

人工心肺装置がないとどうなるの?

人は絶えず血液流れているため、血管や心臓を切ると出血してしまい死に至る。心臓手術で心臓内操作が必要な手術は人工心肺装置が必須の手術である。

人工心肺装置使用中の心臓はどうなってるの?

心臓停止には、心筋保護液という薬剤を使用することで、一旦停止した心臓が再び動き出すことができる。
心筋保護液がなければ、心臓は動かず、死に至る。しかし、何時間も停止したままにはできない。3時間程度は安心して使用できる。それ以上の場合は心機能の低下を来す。

人工心肺装置使用中の肺はどうなってるの?

肺動脈からの血液はほとんどないが、気管支からの血液が流れている。人工心肺時間が長ければ、長いほど術後の肺浮腫をきたすことがある。

人工心肺装置使用中の体への影響は?

①凝固機能への影響:脱送血管、人工肺などの異物への接触にて凝固機能の低下、希釈性の凝固因子の減少
②免疫系への影響:人工心肺にて一時的に低下する。
③臓器血流への影響:心臓は拍動し(一拍ことに凸)血液を送り出すが、人工心肺は定常(一定の圧:平坦圧ー)で血液を送り出す。血流の不均衡をきたすことがある。

人工心肺の体への影響は元に戻るの?

人工心肺の影響は、終了後に徐々に改善してきます。最終的には元に戻ります。
心配(心肺)ありません。

人工心肺装置は、心臓と肺の代わりを100%換わって行えます。

よく似た装置に、コロナウイルス感染症の重症例で使用される。ECOMというものの同様であるが、脱血送血の位置が異なる。

心臓手術には、人工心肺装置が必要である。