心臓は、お母さんの体内にいる胎児のときから、生命が終わりを迎えるときまで休まず動きつづける臓器です。ひと時の休養も許されないスゴイ臓器です。
心臓手術では、心臓を切ったり、大動脈を切ったりしますので、そのままでは出血して大変なことになります。心臓に入ってくるところから血液を外に出し、酸素化を行い、心臓の出口に戻す人工心肺装置を使って、一時的に薬剤を使って安全に心臓を止めて手術を行います。手術後、心臓は動き出しますので、心配いりません。冠動脈などの心臓表面のバイパス手術は人工心肺装置を使用せず、心拍動したまま手術は可能です。
心臓手術の種類は?
先天性心疾患手術
心臓発生、発達の段階で構造異常がみられる際の手術となります。全身や肺の血液循環を生命維持に耐えうるよう手術されたり、心臓に先天的に穴がある場合はそれを手術したりします。
虚血性心疾患手術
代表的なものは、冠動脈バイパス術です。動脈硬化等で冠動脈が細くなったり、閉塞した際に、行われる外科的手術です。 以前冠動脈バイパス術は心臓を安全に止めて、止まっている間にバイパス手術を行っていましたが、心臓を止めずに拍動したまま手術を行う、オフポンプ手術が主流をなしています。近年では、平成天皇(今の上皇様)がこの心拍動下冠動脈手術を受けられました。
弁膜症手術
弁形成術、弁置換術と言われる手術です。弁膜症手術は僧帽弁、大動脈弁、三尖弁、肺動脈弁それぞれに手術があります。弁形成術とは、自分の弁は取り去らず、形を整える手術です。弁置換術とは、人工の弁(牛やブタの生体を利用した生体弁や、カーボンで出来た機械弁)を自分の弁を取り去って、その部分に植え替える手術です。
不整脈手術
メイズ手術、ウルフ‐オオツカ法など
心房細動の手術方法となります。メイズ手術は人工心肺装置を使用して行われます。ウルフ‐オオツカ法は胸腔鏡を使用して行われる手術です。
心臓手術の手術時間は?
心臓手術の種類によって変わりますが、大体3時間から4時間です。複合手術や同時手術であれば、プラス1.2時間程度となります。
弁置換(1弁)で約3時間、弁置換(2弁)で約4時間と一手技1時間でいつも患者様に説明しています。 心臓手術の際は、主治医の先生から時間がどのくらいなのか説明があると思います。
手術時間はあくまで目安です。患者様の状態によって異なってきます。