- 昨年から完全内視鏡下心房細動手術(ウルフーオオツカ法)を開始して、1年3か月が経過しました。
今年は1月に2例のウルフーオオツカ法手術を行い、2月に1例、3月に1例、4月に1例と現在9例(今年5例)の手術を終えました。
9例を振り返って、
5 例: ウルフーオオツカ法(Ⅱ法)
これは、胸腔鏡下左心耳切除術のみの症例です。
①左心耳内血栓による脳梗塞、上肢の血栓動脈閉塞の既往の方
②抗凝固薬服用による副作用の消化管出血の既往の方
③脳梗塞後、カテーテルアブレーション予定の左心耳血栓疑いの方
④脳梗塞後、抗凝固薬による脳出血の既往の方
⑤29年の心房細動歴、カテーテルアブレーション再発(17年前)の方
5 例とも左心耳切除遺残なく、手術合併症もなく
手術成功!!
4 例: ウルフーオオツカ法(Ⅰ法)
これは、胸腔鏡下肺静脈隔離術+左心耳切除術の症例です。
①カテーテルアブレーション後の再発の方
②発作性心房細動で未治療の方
③慢性心房細動でカテーテルアブレーション困難例の方
④カテーテルアブレーション後の再発の方(症候性)
4例とも、ウルフーオオツカ法の宣伝を知ってこられた方でした。
手術は、術後早期は全例(洞調律/正常化)
退院時に洞調律⇔心房細動繰り返す。
3か月以後の慢性期は経過観察中。
ウルフーオオツカ手術は、胸腔鏡下で行う手術であります。
令和4年の保険改定で、
左心耳閉鎖術を「胸腔鏡下」実施した場合、既存のK594【不整脈手術】の「4 左心耳閉鎖術」の「イ 開胸手術によるもの」の所定点数(3万7800点)を準用して算定し、新算定ルールを設定する。
保険点数も上がり、単独手術も可能になりました。
他施設でも、今後手術を開始する施設が多くなってくると予測できます。
ウルフーオオツカ法で気が付いたこととして
1,左心耳切除は根部で間違えなく切除。
⇒血栓予防が確実になる。
毎回切除時が緊張します。切った瞬間出血したらと考えると背筋に冷や汗を感じることが、、、
2,肺静脈隔離は、外科的アブレーション器具で数十秒で行えるが、
電気的隔離には十分時間をかけ繰り返し行う必要があること。
⇒心房細動の再発予防効果を上げる。
隔離回数を2回(大塚先生)3回(伊藤先生)
⇒2回していたが、今後3回から4回へ、さらに電気隔離を確認のため、電気的確認を行っていく予定。
3,術後に血栓予防のため、抗凝固剤使用が必要。
術後右心耳に血栓例を経験して
⇒術早期はヘパリン点滴、
⇒術翌日から抗凝固剤内服開始
⇒術後1か月、3か月を目途に抗凝固剤中止。
4,アミオダロン(抗不整脈薬)、ベータブロッカー(脈を抑える薬)
が必須なこと。
⇒術後はベータブロッカー(脈を抑える薬)を早期開始。
⇒抗不整脈薬は再発状況で中止か継続を
上記4点を今後ルーチン化し行う。
ウルフーオオツカ法が、さらなる治療効果を得るために努めていきます。