睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に気道閉鎖を生じることで、様々な生理的変化をきたし、高血圧、不整脈、心血管系事故の原因となります。今回は、不整脈である心房細動との関係を紹介します。
心房細動と睡眠時無呼吸
心房細動と睡眠時無呼吸の関係は、罹患率・有病率が増加することで注目されるようになった。
無呼吸患者は非無呼吸患者と比較し、経過とともに心房細動の新規発症率が有意に高くなっており、睡眠時無呼吸が心房細動発症の独立した危険因子となっている。
長期経過だけでなく、無呼吸の最中、無呼吸の直後に心房細動の発症率が高いとも言われている。
どうして無呼吸で心房細動が起こるのか?
無呼吸状態となると、気道が塞がり、息を吸おうとすると
⇒胸の中の圧が陰圧(-50mmHg)となる。
⇒静脈から心臓へ帰ってくる血液が吸引状態となり、
静脈環流を増加させる。
⇒胸壁圧の増大・低酸素血症により心拍出量の低下
⇒循環血液の胸腔内への増大し、左房が拡張し
⇒心房細動を誘発しやすくなる。
さらに
無呼吸に伴う低酸素・高二酸化炭素血症により中枢性機序、化学受容体反射、動脈圧受容体反射、心臓・肺伸展による反射を介して自律神経活動に影響を及ぼし、不整脈の発症に関与している。
では、どうすればよいか?
まず、睡眠時無呼吸が原因の心房細動は、 無呼吸の治療が必要。
生活習慣の改善:肥満、生活習慣病の改善、過剰飲酒を控えるなど
睡眠時無呼吸の治療
(シーパップ)療法(持続陽圧呼吸療法)、マウスピース(口腔内装置)療法、
外科的手術などがあります。
睡眠時無呼吸の診断、治療を行っている施設へ相談。
睡眠時に「いびき」を指摘されたことがある方は、ひどい場合、睡眠時無呼吸の可能性があり、専門医にご相談することをお勧めします。
心房細動と睡眠時無呼吸の関係について簡単にまとめました。